「ごめんね・・・・・・最後まで迷惑かけちゃって・・・・・・」それが彼女の最後の言葉だった。俺はその時、ただ見ているだけしかできなかった。
カランコロン

とても細くて若い男がそこそこ賑わっている酒場に入ってきた、ほかの客は見向きもしない。
「よう、久しぶりだなぼうす」
赤い帽子を被った太った店の主人だけが細い男に反応した。おそらくほかの客はこの男のことを知らないのだろう。
若い男は店の主人に近い席に腰掛けた。
「あぁ・・・この町を出てざっと半年ぶりだな。おっさん、俺が前見たときより横幅広がってないか?」
「まぁそりゃぁ俺も成長をするってもんよ」
「ははは、現役引退したおっさんがどんな鍛え方したら横幅が広がるんだよ」
この二人は旧知の仲なのだろう。歳はかなり離れてはいるが、冗談交じりの会話に二人とも同い年の友人のように接していた。
「はっはっは、いろんな客の相手をしてきたからな!」
そう言いつつ、酒場の主人は若い男にストロベリーサンデーを渡した。
「おっ、こいつぁただでくれんのか?」
「おめぇ、この俺がそこまで太っ腹な奴とでも思っていたか?」
若い男はスプーンをとりながら
「あぁ、誰が見てもあんたは太っ腹な奴だからな」
少しの間沈黙が流れた。酒場の主人はどう言い返せばいいか悩んでいたがしばらくして
「ぷ・・・
あっはっはっは!これは一本とられたよ。賞品だ、ただで食わせてやる」
「おいおい、あんたがこの俺に口で勝ったことがあんのかよ」
若い男がストロベリーサンデーを頬張りながらスプーンを店のマスターに向けた。
「もう一つ勝った賞品として質問させていただくぜ」
「ほう、なんだ?気になることでもあるのか?」
「なぁ・・・あんたは
悪夢の木についてしらねぇか?」
若い男がそのことを口に出すと店の主人が小声で
「お・・・お前・・・まさかあの幽霊に手を出すのか?!お前・・・あれは噂話の一種とでも思ってるのか!」
どうやら店の主人はこの事について知っていると気づいた若い男は
「おっさん、この俺を誰だと思っている。この俺は・・・」
ゴツン!
空の酒瓶が男の頭に命中した、酒瓶にヒビが入った。
「ちょっと!この半年間連絡なしでどこほっつき回ってたの!」
「おいシロ・・・ビンで殴るこたぁないだろう!俺が
普通の人間だったら死んでたぞ・・・!」
「あんたにはこれくらいしないと罰になんないの!」
とても元気の良い娘が若い男を怒鳴っている。どうやら若い男はこの娘が苦手のようだ。
「だいたい俺とあんたは家族でもなんでもない、ただの知り合いのはずだった気がするんだが?」
「う・・・うるさいわね!」
照れながら娘は酒場の主人に買ってきた品物を渡した。
「ははは、お前とシロは相変わらずお似合いだな!」
主人は先程の言い争いに少しだけだが根を持っていたらしい。若い男もシロも少しイラっとして、
「うっせぇ!」「やめてよ!」と二人同時に叫んだ。
カランコロン
「いらっしゃい」
入ってきたのは数人のガラが悪そうな連中だ。
「何にいたしましょう?」
店の主人が連中に尋ねた。
「おい!俺を誰だと思ってる?泣く子も黙るギルド「ネフィリム」のリーダー
グリゴリー様だぞ!」
若い男は「俺は見ていない」と思わせんばかりの知らん振りをしながらパフェを食べている。
先程の怒りはどこへ行ったのだろう、この男は自分の興味がないことには非常に冷めているようだ。
「なんだぁ席がどこも空いてねぇじゃねぇか!んん?おい、そこのお前ら!」
休憩がてらに冷たいコーヒーを飲んでいる商人たちは脅えながら
「う゛・・・ゲホッゲホッ!なななんでしょうか・・・?」
「おめぇら邪魔だからどけ!俺たちはなぁ、悪夢の木の化け物を倒そうとしているんだからよぉ。」
「はははいわかりました・・・」
喧嘩事になればただじゃ済まないと覚った商人たちはお代を店の主人に渡して一目散に逃げていった。
確かに彼らはガラは悪いが、戦闘に関しては非常に手慣れだという雰囲気が出ている。ほかの客も脅えて店を出て行ってしまった。だが、
「
ちょっと!あんた迷惑なんじゃないの!」
シロはこの一部始終を見て堪忍袋の尾が切れたらしい。勿論グリゴリーもこんなことを言われては黙ってはいられないと
「なんだとぉ!」
とシロに負けんばかりに叫んだ。
(まったく・・・どうしてこの女はこんなに意地っ張りなんだろうな・・・)
若い男はため息をつきながら
「おっさん、この皿代もサービスしてくれるか?」
「はぁ?お前さん何を言って・・・
おい!」
若い男はストロベリーサンデーの残りが入った皿をグリゴリーに投げつけた。頭に命中し、頭にはストロベリーサンデーがべっとりついた。
「あ・・・アニキ!大丈夫ですかい!?」
「う・・・うわっなんだこりゃぁ!」
「おいおいおい、そんなすごいギルドがそこらにあるような酒場で飲むとは大したことねぇな。」
若い男がグリゴリーに向けて挑発した。
「な・・・この野郎!てめぇただで済むと思うなよ!」
そういうとグリゴリーは自分の大剣を鞘から抜いた。
若い男は口元をニヤつかせながら
「OK、
全部このおっさんにツケてもらうから心配すんな。」
左手の親指で店の主人を指した。主人は「分かったよ」と言わんばかりの表情を見せた。
「あ゛ぁぁぁぁぁ!おめぇら!やっちまえ!!!」
手下たちが剣を抜いて若い男に襲い掛かかる。だが
「な・・・こいつ何者だ!攻撃が全く当たらない・・・」
若い男は顔色一つ変えず手下たちの攻撃をよけていく。
手下たちは動揺している。
他の人から見れば彼らの剣は1流と呼べるほどである。だがこの男はそれをいとも簡単によけているのだ。
「遅すぎてあくびが出るな」
そういいながら若い男は手招きをするかのごとく、グリゴリーに向かって手を振りながら
「こんなとろい攻撃じゃ話にならねぇ、ついでにあんたも来いよ。本気でな!」
「い・・・言ったな・・・その言葉後悔すんじゃねぇぞ!」
そういうとグリゴリーたちは姿を変えていく。この姿はもはや人間と呼べるものではない。

「ククク・・・お前らもう後悔しても知らんぞ・・・」
姿を変えたグリゴリーたちは若い男に襲いかかった。だが
それでも若い男は汗一つかかない。むしろ鼻でグリゴリーたちを笑っている。
「悪魔が、ようやく姿を現したな。やっと本業が始められるぜ!」
若い男は鞘に収めてあった二刀の剣を抜いた。
「おっさん、ストロベリーサンデー代、こいつらで払っておくよ。何釣りはいらねぇ、おっとまだこいつらに俺の自己紹介がまだだったな」
悪魔を切り刻みながら若い男が名乗る。
「そのでかい耳をかっぽじってよく聞け、俺の名前は・・・」
若い男が名乗る間、変身しても勝ち目がないグリゴリーは焦っていた。
(クソッ!こんな奴に俺がやられるとは・・・どう逃げればいい・・・そうか!)
グリゴリーはカウンターテーブルの下に急いでもぐりこんだ。男は名乗るのをやめた。
「きゃぁ!」「おい!小僧!この状況、分かってるよなぁ?」
グリゴリーは持っていた大剣をシロに突きつけてシロを人質にした。グリゴリーは自分一人だけでもここから逃げ出そうとしたのだ。
「あぁ・・・分かってるさ」
「だったらその剣を捨てろ!もちろん二つともだ!」
若い男は剣をグリゴリーの方に投げた。男の表情は今までとはうって変わって怒っているようだ。
「おい!ジジィ!この娘があの世に行きたくなかったらそこのガキと一緒に後ろを向け」
「チッ・・・」
舌打ちをしつつも店の主人は若い男の近くへ行き後ろを向いた。
グリゴリーはシロを人質にとり、二人とも殺して逃げる気だ。もちろん、二人とも今の状況を分かっている。
「後ろを向いたらこの娘の命は無いぞ!いいな!後ろをむい・・・
グハァ!」
「あんたの忠告どおり、
後ろは向いてないぜ」
若い男は拳銃でグリゴリーの剣を持っている右腕の肩を打ったようだ。この隙にシロは逃げ出した。
「なぜだぁぁぁぁぁ!てめぇはブレイダーじゃなかったのか!」
グリゴリーは右肩を抑えながら喚いた。こんなことで展開が変わるとは予測しているはずもない。
「あんた誤解をしている。第一に、ブレイダーが銃を使っていけないなんて所詮は一つの武器を扱うだけで精一杯の連中が決めたことだ。
そして、俺の名前は
オルクス、まぁ死の神って意味だな」
「人間ごときが神だと?ふざけるな!」
グリゴリーは人間と言う生物を今まで下等生物のように見ていた。だが、今こうして逆の立場にあると言うことが未だに理解できてない。オルクスはここに目をつけ
「じゃぁ今人間ごときに銃口向けられてる気分はどうだ?」
「く・・・クソッ!」
「じゃぁな悪魔、
消え失せろ」
部屋には銃声と火薬と血の臭いだけが残っていた。
「何だ、もう行くのか?」
店の主人が問う。だがオルクスはここから早く去りたい気持で
「迷惑をかけたからな、長居は無用だ」
「なんでよ!別にあんたがかけたわけじゃないのに!あいつらが悪かっただけなんだよ!」
「俺の存在自体が迷惑をかけてしまうようだからな、さてとじゃぁいくよ」
オルクスは二刀の剣と銃を持って、最後の挨拶をした。なんだかんだいいながらも彼なりの礼儀があるのだ。
「またこの店には寄るかもしれないからな・・・ん?」
シロは後ろを向いていた。感謝の言葉も恥ずかしくて口に出ないらしい。
オルクスはシロの手を握った。シロは驚いた、こんなことをしてくれるなんて思っていなかった。
「お前がそんなテンションでいるのはどうも気が乗らなくてね。」
「ば・・・馬鹿!あんたなんかどこへでも行きなさいよ!」
「あぁそうさせてもらうことにするよ、
じゃぁな!」そういいつつオルクスはこの街を出て行った。おそらく悪夢の木へ行くのだろう。
「待っててくれよ。今俺が君を助けに・・・ん?」
自分のズボンのポケットにブレスレットが入っていた。その中には手紙が入っていた。
「誕生日今日だったでしょ。おめでとう」と書かれていた。
「・・・大切なものって無くなってから気づくものなんだな。」
旅人はブレスレットを手につけ、自分の目指す場所への道をただ歩いていった。
ちなみに今回無理矢理書き出したこともあって、作れなかったキャラクターや1話完結にしようと思ったら、まだまだ続くみたいな展開になってました。/(^o^)\ナンテコッタイ
シナリオは主人公の性格に合ったような展開にしました。正直Jack pot!は絶対入れよう!と思ってたけど、DMCのパクリになりそうなんでやめました。でも機会があったら入れたいなと。